寝る前のリラックス方法6選|心と体をゆるめて眠りにつく習慣

暖色のやわらかな照明の寝室で、ベッドのそばで深呼吸しながら穏やかにくつろぐ人 睡眠

寝る前は、ぬるめの入浴やゆっくりした呼吸、軽いストレッチなどで刺激と緊張を少しずつ下げることが、眠りにつきやすい状態づくりにつながります。

「早く寝なきゃ」と頑張るほど、かえって目が冴えてしまう夜もありますよね。そんなときは無理に眠ろうとするより、眠れる状態へ心と体をゆっくり切り替えていくことを意識してみましょう。

この記事では、寝る前に取り入れやすいリラックス方法6つと、時間帯ごとの過ごし方、避けたい習慣、眠れないときの考え方まで、無理なく実践できる形でお伝えします。

寝る前のリラックス方法はなぜ眠りにつながる?

寝る前にリラックスする目的は、昼間の「活動モード」から、夜の「休息モード」へ心身を切り替えていくことです。

仕事や家事、人間関係などで緊張が続いていると、布団に入っても頭だけが働き続けることがあります。

「明日の予定は大丈夫かな」「あの一言、変じゃなかったかな」と考え始めると、体は横になっていても、心だけはまだ仕事中ということがありますね。

私たちの体には、活動時に働きやすい交感神経と、休息時に働きやすい副交感神経があります。

リラックスした状態では副交感神経が働きやすくなり、心拍や血圧、筋肉の緊張なども落ち着く方向へ向かいやすくなります。

つまり寝る前のリラックス方法は、眠りを無理やり起こすための「必勝テクニック」というより、眠りが訪れやすい土台を整える習慣と考えるとわかりやすいでしょう。

反対に、「眠らなければ」と焦るほど緊張が高まり、目が冴えてしまうことがあります。

これは、とても大切なポイントだと私は感じています。

眠れない夜というのは、それだけで不安になりますよね。

「あと5時間しか寝られない」「明日つらくなる」と時計を見るたび焦り、さらに眠れなくなる。そんな経験がある方もいるのではないでしょうか。

けれど、眠りは照明のスイッチのように、意志の力で直接オンにできるものではありません。

だからこそ目標を「今すぐ眠ること」から、体を休ませ、心の速度を落とすことへ少し変えてみてください。

眠れたかどうかだけで夜を採点しなくなると、それだけでも寝床で自分を追い込む感覚がやわらぐことがあります。


就寝前に取り入れたいリラックス方法6つ

寝る前のリラックス方法は、全部やる必要はありません。自分が心地よいと感じるものを1〜2個選ぶだけでも十分です。

取り入れやすい方法を整理すると、次の6つがあります。

  • ぬるめのお風呂に入る
  • ゆっくり呼吸する
  • 筋弛緩法で体の力を抜く
  • 反動をつけない軽いストレッチをする
  • 落ち着く音や香りを取り入れる
  • 照明や室温など寝室環境を整える

大切なのは、数をこなすことではありません。

「これをすると少し肩の力が抜ける」と感じられるものを選ぶことが、自分に合った寝る前の習慣をつくる近道です。

1.ぬるめのお風呂で体を温める

寝る前のリラックス方法として、まず取り入れやすいのが入浴です。

目安の一つとして、38〜40℃程度の熱すぎないお湯にゆっくり浸かる方法があります。

40℃前後までのぬるめのお湯は、強い刺激を与えにくく、心と体を落ち着かせながら温めたい夜に向いています。

一方で、42℃以上の熱いお風呂は刺激が強くなりやすいため、寝る前のリラックスを目的とする場合には合わないことがあります。

37〜39℃が良い、38〜40℃が良いなど、様々な説がありますが、共通しているのは、「熱すぎないお湯でゆったり温まる」という点です。

入浴は、体温の変化という面からも睡眠と関係しています。

お風呂で一度体が温まったあと、時間の経過とともに体の内部の温度である深部体温は下がっていきます。

人はこの体温低下のタイミングで眠気が訪れやすくなるため、就寝の1〜2時間前を目安に入浴する方法がよく使われています。

つまり、お風呂は寝る直前に慌ただしく済ませるものではなく、眠りへ向かうための助走として使うと考えるとよいでしょう。

もちろん、仕事から帰る時間や家族の生活リズムによっては、理想とされる時間に入浴できない日もありますよね。

その場合も、「今日はできなかったから眠れない」と考える必要はありません。

少しぬるめのシャワーにしたり、お風呂上がりに照明を落としたりするだけでも、夜の刺激を減らす工夫になります。

入浴そのものを新しい義務にしないことも、寝る前にリラックスするうえでは大切です。

2.ゆっくりした呼吸で頭と体を静かにする

特別な道具を使わず、その場ですぐできる寝る前のリラックス方法が呼吸です。

一例として、6秒ほどかけて鼻から吸い、6秒ほどかけてゆっくり吐く方法があります。

また、5秒ほど吸って10秒ほどかけて吐くなど、「吸う時間より吐く時間を長めにする」呼吸法もあります。

このように秒数にはいくつかのやり方があり、「何秒が絶対に正しい」というものではありません。

そのため、「6秒吸えなかった」「10秒吐けなかった」と採点する必要はないのです。

息苦しさを感じる場合は、もっと短くして構いません。

私としては、寝る前の呼吸で大事なのは、数字を守ることより苦しくならないことだと考えています。

深く吸おうと頑張りすぎると、かえって呼吸そのものが気になって緊張することもあります。

たとえば最初に「ふーっ」と無理なく息を吐き、吐いたぶんだけ自然に空気が入ってくるのを待ってみてください。

それから少しずつ呼吸の速度を落としていくだけでも構いません。

呼吸をしている間に考えごとが出てきても、「考えちゃダメ」と追い払おうとしなくて大丈夫です。

「あ、また明日のことを考えていたな」と気づいたら、そっと呼吸へ意識を戻してみましょう。

寝る前は、うまくやる時間ではありません。

1日の終わりくらいは、「ちゃんとできているかな」と自分を評価するのではなく、呼吸に体を預けるような気持ちで過ごしてみてくださいね。

※画像はAIによるイメージ

3.筋弛緩法で「力が抜けた感覚」を味わう

「リラックスしよう」と言われても、どうすれば体の力が抜けるのかわからない方には、筋弛緩法が合うかもしれません。

筋弛緩法、正式には漸進的筋弛緩法と呼ばれる方法は、1930年代にアメリカの神経生理学者エドモンド・ジェイコブソン博士によって考案されました。

基本的な考え方は、とてもシンプルです。

一度あえて筋肉に力を入れ、そのあと力を抜くことで、「緊張」と「脱力」の違いを体で感じ取る方法です。

たとえばベッドや布団の上で仰向けになり、全身に10秒ほど力を入れ、その後息を吐きながら一気に脱力します。

力を抜いた状態を15〜20秒ほど味わい、これを数回繰り返す方法があります。

全身に力を入れるのが負担に感じる場合は、もっと小さく始めても構いません。

手をグーに握って5秒ほど力を入れ、そのあとパッとゆるめる。

あるいは足首や肩など、一部分だけを緊張させてから力を抜いてもよいでしょう。

筋弛緩法の面白いところは、リラックスしようと直接頑張るのではなく、一度緊張をはっきり感じてから手放すことにあります。

日中ずっと肩やあごに力が入っている人は、その緊張した状態が「普通」になり、自分が力んでいること自体に気づきにくくなることがあります。

そんなとき、ぎゅっと力を入れてからストンと抜くと、「こんなに力を入れていたんだ」と気づくことがあります。

眠る前のリラックスとは、何か特別なものを足していくことだけではありません。

今日一日ずっと抱えていた力を、一つずつ床に下ろしていく時間でもあるのだと思います。

4.反動をつけない軽いストレッチをする

寝る前に少し体を動かしたい場合は、激しい運動ではなく静的ストレッチが取り入れやすいでしょう。

静的ストレッチとは、反動や弾みをつけず、一定の姿勢を保ちながらゆっくり筋肉を伸ばす方法です。

肩や首、背中、腰などを「痛い」と感じるところまで伸ばすのではなく、「気持ちいいな」と感じられる範囲で動かしていきます。

椅子に座ったままでも、次のような動きなら取り入れやすいでしょう。

  • 両手を組んで、ゆっくり上へ伸ばす
  • おへそを見るように背中を丸め、腕を前へ伸ばす
  • 上半身を左右へ無理なくひねる
  • 首を左右へゆっくり倒す

ストレッチ中は息を止めないことも大切です。

吐く息に合わせて肩や背中の力を抜くようにすると、無理に伸ばそうとしなくても体がゆるみやすくなります。

寝る前に軽い運動をする場合は、就寝の2〜3時間前を一つの目安として、汗ばむ程度までにしておく考え方があります。

ここでも、「たくさん運動すれば、そのぶんよく眠れる」というわけではありません。

寝る直前に息が上がるほど激しく運動すると、心拍が高まり、かえって目が冴えてしまうことがあります。

寝る前のストレッチは、運動能力を高めるための時間ではなく、体に「もう頑張らなくていいよ」と知らせる時間と考えてみてください。

伸ばせる範囲を競わなくて大丈夫です。

今日は首だけ、明日は肩だけというように、その日の疲れに合わせて選んでもよいでしょう。

5.音や香りを「安心の合図」にする

体を直接動かさなくても、音や香りからリラックスへ入る方法があります。

波音や雨音、小鳥のさえずりといった自然音には、一定すぎず不規則すぎない揺らぎを持つものがあります。

こうした穏やかな自然音を聞くことで、周囲の雑音や頭の中の考えごとが気になりにくくなる人もいるでしょう。

音楽であれば、急激なリズムの変化が少なく、ゆったり流れるような曲のほうが寝る前には使いやすい傾向があります。

ただし、音の好みには大きな個人差があります。

世間で「リラックス音楽」と呼ばれているものでも、自分が落ち着かなければ無理に聴く必要はありません。

静かなピアノが好きな人もいれば、雨音のほうが安心できる人もいます。

何も流さない静かな部屋が、一番ほっとする人もいますね。

香りも同じです。

ラベンダーやヒノキ、スギ、カモミールなどは、寝る前に使われる香りとして知られています。

香りは感情や記憶と結びつきやすいため、自分が「好き」「落ち着く」と感じられる香りがあれば、夜の切り替えを助ける合図として取り入れることができます。

一方で、万人に同じ香りが合うわけではありません。

特定の香りで頭痛や吐き気、不快感が出る方もいますし、香りに敏感な方が無理にアロマを使う必要はありません。

小さな子どもやペットと暮らしている場合なども、精油の種類や使い方には配慮が必要です。

私は、音や香りを「これで眠らなければ」と効かせようとするより、毎晩の安心の合図として育てていくものと考えるほうが自然だと思っています。

同じ穏やかな音を流す。

好きな香りをほんの少し使う。

照明をいつもの明るさから一段落とす。

こうした小さな繰り返しが、「この時間になったらもう休んでいい」という生活の区切りになっていきます。

6.照明・温度・寝具を整える

どれだけ呼吸やストレッチをしても、寝室が明るすぎたり、暑すぎたり、寒すぎたりすれば落ち着きにくくなります。

そこで見落としたくないのが、自分自身だけでなく、眠る環境をゆるめることです。

寝る時間が近づいたら、昼間と同じ強い明るさを保つより、少しずつ照明を暗めにしていきましょう。

就寝のおよそ1時間前から、可能であれば暖色系の穏やかな照明へ切り替えるのも一つの方法です。

室温や湿度も寝つきやすさに関係します。

暑く湿度が高すぎると体の熱が逃げにくくなり、反対に寒すぎても体温を保とうとして負担になります。

ただし、快適と感じる温度には季節や寝具、体質によって個人差があります。

数字だけを追いかけるのではなく、

  • 汗ばんで目が覚めないか
  • 寒さで肩や体を縮めていないか
  • 寝具の中が蒸れていないか
  • パジャマや布団が重すぎないか

といった自分の感覚も大切にしてみてください。

枕やマットレスについても、「高価なら必ず眠れる」というものではありません。

今使っている寝具で首や腰がつらくないか、暑さや蒸れを感じないかなど、睡眠を妨げている小さな不快感がないかを確認するほうが現実的です。

つまり寝る前のリラックス方法は、「自分自身をどう変えるか」だけではありません。

自分を包んでいる環境を静かに整えてあげることも、立派なセルフケアなのです。


睡眠前のリラックス方法は時間軸で考えると続けやすい

寝る前のリラックスは、布団に入った瞬間から始めるより、就寝の2〜3時間前から少しずつ刺激を減らしていくと取り入れやすくなります。

「何をすればいいかはわかったけれど、全部やるのは無理」と感じた方もいるでしょう。

その感覚はとても自然です。

むしろ、一度にすべてを生活へ追加すると、寝る前に「またやることが増えた」と感じてしまうことがあります。

まずは1〜2個から始めてください。

時間帯ごとの目安を整理すると、次のようになります。

タイミング リラックスのためにできること
就寝2〜3時間前 激しい運動など強い刺激を減らし始める
就寝1〜2時間前 38〜40℃程度を目安にぬるめのお風呂へ入る
就寝30分〜1時間前 照明を暗めにし、読書・穏やかな音・香りなどで過ごす
就寝直前 軽いストレッチ、ゆったりした呼吸、筋弛緩法などを行う
眠れないとき 無理に眠ろうとせず、必要なら一度ベッドを離れる

この流れを見ると、「寝る前のリラックス」はベッドに入った瞬間だけの問題ではないことがわかります。

昼の明るさと夜の静けさの間に、少しずつ速度を落としていく時間が必要なのですね。

車も高速道路を走っていた状態から、一瞬で停止するわけではありません。

少しずつアクセルを緩め、速度を落としてから止まります。

私たちの心と体も、少し似ています。

仕事のメールを閉じた直後まで頭をフル回転させ、明るいスマートフォンの画面を見続け、そのまま布団に入って「さあ眠って」と言われても、簡単には切り替えられません。

寝る前の1時間を完璧なルーティンにする必要はありません。

「歯を磨いたら照明を少し暗くする」「お風呂から出たら仕事の連絡を見ない」といったように、自分なりの“ここから休む”という境界線を一つつくることが役立ちます。

そして、時間軸で考える大きなメリットは、「眠れなかった原因を全部自分のせいにしなくて済むこと」でもあります。

睡眠は寝床の中だけで決まるのではなく、その前の光や活動量、考えごと、刺激など、さまざまな要素に影響されます。

だからこそ、「呼吸法が下手だったから眠れなかった」と一つの方法だけを責めなくてよいのです。

※画像はAIによるイメージ

リラックスして寝るために避けたい行動は?

寝る前はリラックス方法を増やすだけでなく、スマートフォンやカフェイン、アルコール、激しい運動など、覚醒につながりやすい刺激を減らすことも大切です。

特に気をつけたいのが、スマートフォンです。

寝る前のスマートフォンやパソコンは、画面の明るさだけでなく、SNSや動画、ニュース、仕事の連絡といった情報の内容そのものが頭を再び活動モードへ戻してしまうことがあります。

「眠れないから少しだけ」とSNSを開いたつもりが、気づけば30分、1時間と過ぎていた経験がある方もいるでしょう。

そこへニュースや仕事の通知、人間関係の投稿まで入ってくると、体は寝室にいるのに、心は再び外の世界へ連れ戻されます。

寝る前のスマホ対策は、意思の強さだけに頼らないほうが続けやすくなります。

たとえば、充電場所をベッドから離す、目覚まし時計を別に用意する、寝る前に見るコンテンツを決めておくといった工夫があります。

「見ないように我慢する」より、自然と触りにくい環境をつくるほうが負担を減らせることがあります。

カフェインについても注意しておきましょう。

コーヒーだけでなく、緑茶、紅茶、エナジードリンクなどにもカフェインが含まれています。

カフェインには覚醒作用があり、摂取する量や時間、体質によっては夜まで影響が残ることがあります。

「寝つきが悪いな」と感じている方は、午後から夜に何を飲んでいるか、一度振り返ってみる価値があります。

アルコールにも注意が必要です。

「お酒を飲むと眠くなるから、寝酒にしている」という方もいるかもしれません。

確かに一時的に眠気を感じることはありますが、アルコールは睡眠の後半を浅くしたり、途中で目覚めやすくしたりすることがあります。

「眠くなること」と「質のよい睡眠が続くこと」は、同じではないのですね。

また、寝る直前の激しい運動や、熱すぎる入浴も刺激が強くなりやすい行動です。

運動そのものが悪いわけではありませんが、夜遅くに心拍が大きく上がるほど動くと、体がまだ活動時間だと受け取ることがあります。

つまり寝る前に必要なのは、「何かで強制的に眠気を起こすこと」ではありません。

覚醒につながる刺激を一つずつ静かに減らしていくことが、心と体を休息へ向かわせる基本になります。


眠れない夜は「眠ろうとしすぎない」ことも大切

リラックス方法を試しても眠れないときは、布団の中で無理に粘り続けず、いったん眠る努力から離れることも選択肢です。

さまざまな方法を試しても、眠れない夜はあります。

そんな夜に一番つらいのは、「こんなにやったのに眠れない」と自分を責めてしまうことかもしれません。

けれど、眠れないこと自体は失敗ではありません。

長い時間ベッドの中で「眠れない」「眠らなきゃ」と悩み続けると、寝床に入ること自体が緊張のきっかけになってしまうことがあります。

そのため、どうしても眠気が戻らない場合は、いったんベッドを離れる方法があります。

その際は、明るい照明をつけて活動を始めるのではなく、暗めの落ち着いた環境で静かに過ごします。

紙の本を軽く読む、椅子でぼんやりするなど、刺激の少ないことをしながら自然な眠気を待ち、眠くなってから寝床へ戻ります。

この「いったん離れる」という考え方は、眠れない方にとって少し意外かもしれません。

布団へ入った以上、何としてでも寝なければいけないと思いやすいからです。

けれど、眠ろうと努力するほど「まだ眠れていない」という事実に注意が向き、頭が働き続けてしまうことがあります。

時計を何度も確認するのも同じです。

「もう1時」「あと4時間」と計算し始めると、眠るための場所だった寝室が、残り時間を数える場所になってしまいます。

できるのであれば、時計を視界から外しておくのもよいでしょう。

「眠らなくては」ではなく、「今は心と体を休ませていればいい」と考えてみてください。

私は、寝る前のセルフケアでは、この自分を追い込まない姿勢そのものもリラックス方法の一つだと思っています。


寝る前のリラックス習慣を続けるにはどうすればいい?

続けるコツは、理想の睡眠ルーティンを完成させることではなく、自分が少し楽になる方法を見つけて、その日の状態に合わせて選ぶことです。

リラックス方法には、自分に合うものと合わないものがあります。

他の人が「すごく眠れた」と感じる方法でも、自分には落ち着かないことがあります。

これは決して珍しいことではありません。

「睡眠にはこれがいい」と聞くと、私たちはつい正解を探したくなります。

けれど、人によって落ち着く音も香りも違います。

お風呂が好きな人もいれば、長く湯船に入ると疲れてしまう人もいます。

呼吸を数えると頭が静かになる人もいれば、呼吸に意識を向けるほど緊張する人もいます。

ストレッチで気持ちがほどける人もいれば、何もせず横になっているほうが楽な人もいます。

だからこそ、自分の夜を小さな実験のように眺めてみてください。

「今日は入浴した日のほうが眠気が来た」

「呼吸を数えるより、長く吐くだけのほうが楽だった」

「雨音を流すと考えごとが減った」

「スマホを寝室の外に置いたら、何度も時間を確認しなくなった」

そんなふうに、自分の反応を静かに観察していくのです。

すると「世間でおすすめされている方法」から一歩進んで、自分専用の眠る準備が少しずつ見えてきます。

毎日まったく同じことをする必要もありません。

疲れ切った日は呼吸だけ。

肩や首がつらい日は軽いストレッチ。

頭の中が騒がしい日はスマートフォンを早めに置いて、静かな時間をつくる。

寒い日はお風呂を少し長めに楽しむ。

その日の自分に合った方法を選んでもよいのです。

ここで私が大切だと思うのは、「何をしたら眠れたか」だけでなく、「何をしたら夜が少し楽になったか」を見ることです。

睡眠だけを成功・失敗で判断すると、「昨日は眠れたのに今日は眠れない」と不安が増えやすくなります。

一方で、「今日はスマホを早く置けた」「肩の力が少し抜けた」と過程を見ると、眠れない夜にもケアできたことが残ります。

睡眠を整えることまで、新しい義務にしないでください。

夜にまた一つ「やるべきこと」を増やしてしまったら、本来休むための習慣が新しい緊張の原因になってしまいます。

ケアとは、自分を厳しく管理するためのものではありません。

今日一日頑張ってきた自分を、休ませるためのものですね。


考察|寝る前のリラックス方法で大切なのは「眠らせる」より「ゆるめる」こと

ここまで寝る前のリラックス方法を見てくると、それぞれ違う方法のようでいて、実は共通していることがあります。

入浴、呼吸、筋弛緩法、ストレッチ、音、香り、照明。

どれも目指しているのは、覚醒や緊張のレベルを少しずつ下げることです。

個人的には、この考え方を知っているだけでも、寝る前のセルフケアは取り入れやすくなると感じています。

なぜなら、「眠るためには絶対にこの方法をしなければならない」と考えなくて済むからです。

ラベンダーの香りが苦手なら、使わなくて構いません。

腹式呼吸を意識すると息苦しくなるなら、無理に深く呼吸しなくても大丈夫です。

入浴する時間が取れない日は、部屋の照明を落として肩の力を抜くだけでもよいでしょう。

大事なのは手法そのものではなく、「今の自分が受け取っている刺激を、一段階下げられるか」という視点です。

私はここに、寝る前のリラックス方法を選ぶうえでの一番大切な軸があると考えています。

「これは睡眠に良いらしい」と聞いた方法を集め続けるより、「私は何をすると少し静かになれるだろう」と自分へ尋ねてみる。

そのほうが、情報に振り回されにくくなります。

そしてもう一つ重要なのが、寝る直前だけでなく、その少し前から心身の速度を落とすことです。

寝る前の10分だけを変えようとしても、その直前まで仕事やSNSで頭を高速回転させていれば、すぐに静かな状態へ移るのは難しいでしょう。

入浴を1〜2時間前にする。

照明を徐々に暗くする。

スマートフォンとの距離を取る。

夜になったら、急ぎでない仕事を少しずつ終える。

こうした行動には、「今日の活動時間はここまで」という境界線をつくる意味があります。

現代は、この境界線がとても曖昧になりやすい時代です。

スマートフォンがあれば、ベッドの中でも仕事ができ、ニュースが読め、SNSで人とつながり、動画を見続けられます。

とても便利である一方、体は寝室にいるのに、頭だけが昼間の世界につながったままになりやすいのですね。

だから私は、寝る前のリラックス方法を「睡眠テクニック」としてだけではなく、1日をきちんと終えるための小さな儀式として捉えることをおすすめしたいです。

照明を落とす。

スマホを置く。

肩をゆっくり伸ばす。

息を吐く。

明日でよいことは、いったん明日に預ける。

今日うまくできなかったことも、今夜の寝床まで持ってこなくて大丈夫です。

眠ることは、何かを達成する時間ではありません。

むしろ、握っていたものを一つずつ手放していく時間なのだと思います。

そして、眠れない夜にまで「リラックスしなくちゃ」と力まないことも大切です。

リラックスとは、本来「正しくできたか」を判定するものではありません。

「今日はこれくらいでいい」と終わらせることも、立派な休息への一歩です。

なお、生活習慣を見直しても寝つけない状態や途中で目覚める状態が長く続く場合、日中の強い眠気によって生活に支障が出ている場合、大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されている場合などは、セルフケアだけで抱え込まないことも大切です。

目安の一つとして、寝つけない・途中で目覚める状態が2週間以上続く場合や、眠気によって仕事・家事・運転などへ影響が出ている場合は、医療機関へ相談することも検討してください。

リラックス方法は、心身を休ませるための助けにはなります。

ただし、睡眠に関わる病気そのものを診断したり治療したりする方法ではありません。

「もっと努力して眠らなければ」と追い込むのではなく、必要なときに専門家の力を借りることも、自分をいたわる大切な選択です。


まとめ|寝る前は「眠る努力」より心と体を休息モードへ

寝る前のリラックス方法として取り入れやすいのは、ぬるめの入浴、ゆっくりした呼吸、筋弛緩法、静的ストレッチ、穏やかな音や香り、寝室環境の調整です。

入浴は就寝1〜2時間前を一つの目安にし、寝る時間が近づいたら照明やスマートフォンなどの刺激を少しずつ減らしていくと、活動から休息へ切り替える流れをつくりやすくなります。

ただし、すべてを完璧に行う必要はありません。

「お風呂の温度を少し下げる」「寝る前に3回だけゆっくり息を吐く」「スマホを枕元から離す」といった、小さなことからで十分です。

そして何より、眠れない夜に自分を責めないでください。

眠りは、頑張れば頑張るほど上手になるものではありません。

今日一日使ってきた頭と体へ、「もう休んでいいよ」と知らせるように、少しずつ夜の速度を落としていくこと

それが、寝る前のリラックスを続けるうえで大切な土台になるでしょう。


よくある質問

寝る前に一番簡単にできるリラックス方法は?

特別な道具が必要ないという点では、ゆっくり息を吐く呼吸法が取り入れやすいでしょう。

秒数にこだわりすぎず、まずは自然に息を吐き、苦しくない範囲で呼吸をゆっくりにしてみてください。

呼吸へ意識を向けるとかえって緊張する場合は、手を軽く握ってから脱力する筋弛緩法や、肩をゆっくり伸ばす方法でも構いません。

お風呂は寝る何時間前がよいですか?

一つの目安として、就寝1〜2時間前に入浴すると取り入れやすいでしょう。

38〜40℃程度の熱すぎないお湯で体を温め、お風呂から出たあとに体温が少しずつ下がっていく時間をつくります。

ただし、生活リズムによって毎日その時間に入れないこともあります。時間を完璧に守るより、熱すぎる入浴を避け、入浴後の刺激を減らすことを意識してみてください。

寝る前のストレッチは何分くらいすればいいですか?

長時間行う必要はありません。

首や肩、背中など、その日に疲れを感じる場所を中心に、「気持ちいい」と感じる範囲で数分程度から始めるだけでも十分です。

痛みを我慢して伸ばしたり、息が上がるほど動いたりせず、呼吸を止めないことを大切にしましょう。

寝る前にスマホを見るとリラックスできないのでしょうか?

すべての人が同じ影響を受けるわけではありませんが、スマートフォンは光だけでなく、SNS、ニュース、動画、仕事の通知などによって頭を再び活動状態へ戻しやすい道具です。

寝つきに悩んでいる場合は、寝る30分〜1時間ほど前から距離を置くなど、自分に無理のない範囲で試してみる価値があります。

呼吸法をすると息苦しくなる場合はどうしたらいいですか?

無理に深く吸ったり、決められた秒数を守ったりする必要はありません。

まず自然に息を吐き、そのあと勝手に入ってくる空気を受け取るくらいの呼吸で十分です。

呼吸へ意識を向けること自体が負担になる場合は、呼吸法にこだわらず、ストレッチや筋弛緩法、静かな音を聴くなど別の方法を選んでください。

リラックス方法を試しても眠れないときはどうすればいいですか?

無理に眠ろうとし続けないことも大切です。

どうしても眠気が戻らない場合は、いったんベッドを離れ、暗めの環境で刺激の少ない本を読むなど静かに過ごし、眠気が戻ってから寝床へ戻る方法があります。

寝つけない状態が2週間以上続く、日中の強い眠気で生活に支障が出る、睡眠中の呼吸停止や大きないびきを指摘されるといった場合は、医療機関への相談も検討してください。

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