体のこわばりをゆるめてリラックスしたいなら、痛みを我慢して強く伸ばさず、ゆっくり呼吸しながら心地よい範囲で動かすことが大切です。
首や肩、背中、腰、脚を数分やさしく伸ばすだけでも、長時間同じ姿勢で固まった体に気づき、「がんばる時間」から「休む時間」へ切り替えるきっかけになります。
「今日はそれほど動いていないのに、なぜか体が重い」「布団に入っても肩や背中に力が残っている」。そんな感覚を抱えている方は、決して珍しくありません。
仕事や家事、スマートフォンを見る時間が続くと、私たちは知らないうちに同じ姿勢を保ち続けます。さらに気持ちが張りつめている日は、肩をすくめたり、あごをかみしめたり、呼吸が浅くなったりすることもありますね。
そんなときに取り入れやすいセルフケアの一つが、短時間のストレッチです。
この記事では、健康情報や理学療法の知見を踏まえながら、リラックスするためのストレッチ方法、寝る前にできる3分程度の習慣、首・肩・背中・腰・脚を無理なくほぐすコツまで、順番にわかりやすく整理します。
リラックスできるストレッチ方法とは?大切なのは「強さ」より呼吸
リラックス目的のストレッチでは、「どこまで伸ばせるか」を競う必要はありません。呼吸を止めず、体が少しずつほどけていく程度の強さで行うことが基本です。
私たちの体には、活動しているときに優位になりやすい交感神経と、休息時に働きやすい副交感神経があります。
ゆったりした呼吸は、緊張している体と気持ちを落ち着いた状態へ切り替えるための一つの方法です。ストレッチをするときにも、呼吸を止めずに続けることが大切だとされています。
ただし、「4秒吸って8秒吐かなければならない」のように、数字にこだわりすぎる必要はありません。
呼吸法を完璧にしようと意識しすぎることで、かえって「うまくできているかな」と緊張してしまう人もいます。
私はヘルスケアサロンで心身の悩みに耳を傾けてきた中で、「リラックスしなければ」と一生懸命になりすぎて、それ自体が新しい負担になっている方を何度も見てきました。
ストレッチも同じです。
上手に伸ばそうとするより、「息を吐くときに少し力を抜いてみよう」くらいの感覚のほうが続けやすいと私は感じています。
肩が少し下がった。
あごの力が少し抜けた。
背中がほんの少し広がった。
そのくらいの小さな変化で十分なのですね。
痛いほど伸ばさなくていい
柔軟性を高めようとして、痛みを我慢しながら強く伸ばす方もいますが、リラックス目的ではおすすめできません。
ストレッチでは、「筋肉が伸びている」と無理なく感じられる程度のところで20〜30秒ほど保つ方法がよく用いられます。
体が硬い方でも、無理に可動域を広げる必要はありません。
「もっと伸びなければ意味がない」と思わなくて大丈夫です。人によって骨格や柔軟性は違いますし、同じ人でもその日の疲れや姿勢によって動かしやすさは変わります。
特に首、腰、膝などに痛みがある場合は、「ストレッチだから安全」と決めつけず、違和感や痛みが出た時点で中止してくださいね。
リラックスの時間は、自分の体と争う時間ではありません。
その日の体が許してくれるところまで、そっと動かす。それくらいでちょうどいいのです。
リラックス目的なら「伸ばす・呼吸する・力を抜く」の3つで十分
初めてストレッチをするときは、難しいメニューを覚えるよりも、次の3つだけ意識してみてください。
- 痛くないところまで、ゆっくり伸ばす
- 息を止めず、自然な呼吸を続ける
- 終わったあとに肩や手足の力を抜く
この3つができていれば、「正しい角度」や「正確な秒数」に神経質になる必要はありません。
リラックスのために大切なのは、できるだけ深く曲げることではなく、伸ばす前よりも少し楽になったかを自分で感じ取ることです。
すぐできるリラックス方法|首・肩・背中をやさしくほぐすストレッチ
緊張が続いた日にこわばりやすいのが、首、肩、肩甲骨まわりです。
パソコンやスマートフォンを見るときは頭が前へ出やすく、肩も内側へ入りやすいため、「気づけば首から背中までガチガチ」という状態になりやすいですね。
特にデスクワークでは、「たくさん動いた疲れ」ではなく「動かなかった疲れ」がたまりやすくなります。
長時間同じ姿勢を続けていた人ほど、いきなり大きく動かす必要はありません。まずは特別な道具を使わず行いやすいストレッチから始めましょう。
首をゆっくり横へ倒す
まず椅子に座り、背もたれに軽く体を預けます。
息を吐きながら右耳を右肩へ近づけるように、頭をゆっくり傾けます。このとき、右肩を耳へ近づけるのではなく、肩はできる範囲で下げておきましょう。
首の左側が心地よく伸びるところで止め、自然な呼吸を続けます。
20〜30秒を一つの目安にしても構いませんが、長く感じるならもっと短くても大丈夫です。
反対側も同様です。
手で頭を強く引っ張る必要はありません。頭そのものの重さを利用するくらいで十分です。
首は繊細な場所ですから、勢いをつけて回したり、強く押し込んだりしないようにしてください。
「首がポキポキ鳴るまで動かしたほうがいい」と考える必要もありません。音を鳴らすことがリラックスの目的ではないからです。
肩を上げて、一気に力を抜く
肩に力が入っていることに気づきにくい方には、とても簡単な方法があります。
息を吸いながら両肩を耳へ近づけるように持ち上げ、2〜3秒ほど保ちます。
その後、息を吐きながら「ストン」と肩の力を抜きます。
これを2〜3回繰り返してみてください。
わざと一度力を入れることで、「力が入っている状態」と「力が抜けた状態」の違いを感じ取りやすくなります。
私たちは緊張が続くと、力んでいる状態そのものを普通だと感じることがあります。
仕事に集中していたり、誰かに気を遣っていたりすると、数時間ずっと肩を持ち上げたままになっていても気づかないことさえありますね。
だからこそ、脱力した瞬間を体に思い出してもらうことには意味があると私は考えています。
肩甲骨を意識して腕を大きく回す
寝る前の「腕回しストレッチ」もおすすめです。
腕を曲げて脇を開き、肘を上へ持ち上げ、そのまま後ろへ大きく回していきます。
ポイントは、腕だけを回そうとするのではなく、背中側の肩甲骨が寄ったり離れたりする感覚を意識することです。
その後、腕を前へ回して手を組み、前方へ伸ばします。
さらに無理のない範囲で腕を頭の上へ持ち上げ、2〜3秒ほど伸びたらゆっくり下ろします。
一連の動作を1分間で5〜6回繰り返す方法もあります。
ただし、肩に痛みがある場合は頭上まで腕を上げる必要はありません。
胸の高さまででも十分です。
「大きく回さなければ」と頑張るより、肩甲骨の周辺が少し動いているかを確かめる程度で構いません。
背中や腰をリラックスさせるストレッチ方法
「肩よりも背中が重い」「腰のあたりにずっと力が入っている」という方もいますね。
精神的な緊張が続くと、体の前側だけでなく背中側の筋肉も休みにくくなることがあります。
さらに、パソコン作業や運転などで同じ姿勢を続けていると、背骨まわりを動かす機会そのものが少なくなります。
そんなときは、背骨まわりをいきなり大きく動かそうとするのではなく、丸める、伸ばす、軽くひねるという穏やかな動きを取り入れてみましょう。
チャイルドポーズで背中を休ませる
腰、腕、肩をゆったり休ませたいときに取り入れやすいのが、チャイルドポーズです。
床に膝をつき、お尻をかかと方向へ下ろします。
そこから両手を前へ伸ばしながら、上半身をゆっくり床方向へ近づけます。
額を床やクッションにつけられる場合は、そのまま20〜30秒ほど自然に呼吸します。
お尻がかかとにつかなくても問題ありません。
床に額が届かない場合も、クッションや丸めたタオルなどを使い、体を無理に押し下げないようにしましょう。
膝に負担を感じる場合は行わないか、姿勢を浅くしてください。
この姿勢のよいところは、力を使って「伸ばす」というより、体重を預けながら背中を休ませやすいところです。
息を吐くたびに、肩甲骨の間や腰のあたりが少し広がっていくイメージを持つと、さらに力を抜きやすくなります。
キャット・キャメルで背骨をゆっくり動かす
四つんばいになり、両手を肩の下、膝を腰の下あたりにつきます。
息を吸いながら、無理のない範囲で胸を前へ向け、背中を緩やかに反らします。
次に息を吐きながら、おへそを見るように背中を丸めます。
これを5〜8回程度、ゆったり繰り返します。
ここでも「最大まで反る」「最大まで丸める」必要はありません。
むしろ、呼吸に背中の動きがついてくる程度がちょうどいいでしょう。
ストレッチをしていると、「もっと効かせなくちゃ」と動きを大きくしたくなるかもしれません。
けれど、リラックスという目的に限れば、私は体をコントロールする時間より、体の反応を観察する時間にすることをおすすめしたいです。
息を吐いたら背中が少し丸まった。
吸ったら胸が少し広がった。
それを感じるだけでも、自分の体へ注意を戻す時間になります。
今日は背中が動きにくいと感じたなら、それも一つの情報です。
「昨日より硬いからダメ」と採点するのではなく、「今日はここが疲れているんだな」と受け止めてみてください。
仰向けで腰を軽くひねる
仰向けになって両膝を曲げます。
両腕を左右へ広げ、膝をそろえたままゆっくり右側へ倒します。
肩が床から大きく浮かない範囲で止め、数呼吸します。
その後、中央へ戻して反対側も同じように行います。
左右5回ずつ行う方法もありますが、リラックス目的なら回数にこだわらず、気持ちよい範囲で構いません。
一度倒した姿勢で静かに数呼吸するだけでも十分です。
腰に強い痛み、しびれ、脚へ響く症状がある場合には無理に行わず、必要に応じて医療機関などへ相談してください。
脚のこわばりをほぐすなら、ふくらはぎと太もも裏もゆっくり伸ばす
座りっぱなし、立ちっぱなしの日には、上半身だけでなく脚も疲れています。
ところが「リラックスストレッチ」というと、首や肩だけを伸ばして終わってしまう方も多いのではないでしょうか。
ふくらはぎや太ももの裏側は、歩くときにも姿勢を保つときにも使われる場所です。
また、長時間座ったままでいると膝や股関節を曲げた姿勢が続くため、「ほとんど運動していないのに脚が重い」と感じることもあります。
ウォーキングなどの軽い有酸素運動の後に、ふくらはぎや太ももの裏側をゆっくりストレッチする方法も広く取り入れられています。
壁を使ったふくらはぎストレッチ
壁に両手をつき、片脚を後ろへ引きます。
後ろ脚のかかとは床につけたまま、前脚の膝をゆっくり曲げて体重を前へ移します。
後ろ脚のふくらはぎが伸びたところで止めます。
反動をつけず、自然な呼吸を続けましょう。
左右を入れ替えて同じように行います。
日中たくさん歩いた日だけでなく、長時間座っていた日にも気持ちよく感じられることがあります。
アキレス腱や足首に痛みがある場合は、無理にかかとを床へ押しつけないようにしてください。
太ももの裏はタオルを使うと無理をしにくい
仰向けになり、片脚へタオルをかけます。
タオルの両端を手で持ち、膝を完全に伸ばそうとせず、太ももの裏側が心地よく伸びる位置まで脚を持ち上げます。
柔軟性に自信がない人ほど、「膝を伸ばさなければ」と頑張らないことが大切です。
膝が少し曲がっていても、太ももの裏側に伸びを感じられれば十分です。
30秒程度を目安にする方法もありますが、苦しくなる前に戻して構いません。
ストレッチでは、解説と同じ形を再現できることより、自分の体に合った位置を見つけることのほうが大切なのですね。
「全身を全部伸ばす」必要はない
ここまで首、肩、背中、腰、脚と紹介すると、「全部やらなければいけないのかな」と感じるかもしれません。
けれど、リラックスを目的とするなら、その日の体の状態に合わせて1〜3種類を選ぶだけでも構いません。
例えば、デスクワークが長かった日は首と肩。
立ち仕事が長かった日はふくらはぎ。
背中全体が重い日はチャイルドポーズ。
このように、その日のこわばりに合わせて選ぶほうが、長いメニューを義務として続けるより負担が少ないでしょう。
寝る前におすすめのリラックスストレッチは?3分習慣という考え方
一日の終わりに体がこわばっている方には、寝る前の短いストレッチも選択肢になります。
例えば、一度に長時間ストレッチするのではなく、夕方以降の3つのタイミングで1分ずつ行うことも有効です。
3つのタイミングとは、以下のようなものです。
- 入浴時に行う「首もみストレッチ」
- 就寝前に行う「腕回しストレッチ」
- 布団に入ってから行う「足首曲げ深呼吸」
合計すると、およそ3分です。
長時間の運動を新しく始めるとなると、それだけで気持ちが重くなる人もいます。
その点、「お風呂で1分」「寝室で1分」「布団で1分」と生活の流れに分けてしまう方法は、習慣として取り入れやすいと私は感じます。
大切なのは、3分という数字そのものより、「いつもの行動のついでに少しだけ体をゆるめる」という考え方です。
入浴時は首を強くもまない
入浴時に取り入れる方法では、首の後ろを温めたあと、うなじ周辺をやさしくほぐします。
ポイントは、強く行わないことです。
首は強く押せば押すほど気持ちよくなるわけではありません。
お湯の温かさを感じながら、手を添えて軽く動かすくらいで十分でしょう。
熱いお湯が苦手な方や、長風呂で具合が悪くなりやすい方は無理をせず、自分が心地よく過ごせる温度や時間を優先してください。
入浴そのものを「ストレッチのノルマ」にしないことも大切です。
就寝前は腕を回して肩まわりをゆるめる
お風呂を出たあとや、寝室へ移動してからは、先ほど紹介した腕回しを1分ほど取り入れる方法があります。
肘を曲げて大きく回し、肩甲骨が動く感覚を確認します。
日中にパソコンやスマートフォンを長く使った日は、胸の前が縮こまるような姿勢になりやすいため、ゆったり腕を動かすだけでも「仕事の姿勢」から離れるきっかけになります。
眠る直前に激しく運動するのではなく、あくまで呼吸が乱れない程度の穏やかな動きにしましょう。
布団では足首と呼吸を組み合わせる
最後に取り入れやすいのが「足首曲げ深呼吸」です。
仰向けになり、鼻から約3秒かけて息を吸いながら、両足首を自分の方向へ起こします。
続いて口をすぼめ、約3〜5秒かけて息を吐きながら足首を戻します。
息を吐き終わるタイミングで、ふくらはぎと足首の力を抜きます。
1分間に5〜6回行う方法が目安として示されています。
ただし、数字どおりに呼吸することが苦しく感じるなら、秒数にこだわる必要はありません。
特に呼吸に不安を感じやすい方は、「ゆっくり吐こう」と頑張るほど息苦しく感じる場合があります。そのときは普通の呼吸へ戻し、足首だけ動かしても構いません。
リラックスするための方法で苦しくなったなら、続けることより中止することを優先してくださいね。

リラックス方法としてストレッチを続けるコツは?
ストレッチには、毎日30分の特別な時間を用意しなければ意味がないわけではありません。
主要な部位を一通りストレッチしても10分程度で行える方法がありますし、毎日が難しければ週に数回から始めるという考え方もあります。
大切なのは、「理想的なメニュー」を一度だけ頑張ることではなく、自分が無理なく戻ってこられる小さな習慣を作ることでしょう。
「何分やるか」より「いつやるか」を決める
習慣化したい場合、「毎日10分ストレッチする」と決めるよりも、すでにある生活習慣へ結びつけるほうが取り入れやすいことがあります。
例えば、次のような形です。
- お風呂から出たら肩を3回回す
- 歯磨きの後に首を左右へ伸ばす
- 昼休みに椅子から立ったらふくらはぎを伸ばす
- 布団へ入ったら足首を5回動かす
「何時にやろう」と新しく予定を増やすのではなく、普段している行動の直後に置いてしまうのですね。
寝る前に同じストレッチを繰り返すことで、「これから眠る時間」という切り替えの合図のように感じられる人もいるでしょう。
これはストレッチそのものだけでなく、「一日の終わりに同じ静かな行動を繰り返す」という点にも意味があると私は考えています。
朝・昼・夜で目的を変えてもいい
ストレッチする時間帯によって目的を変える考え方もあります。
朝なら、一日の動きを始めるために体をゆっくり目覚めさせる。
日中なら、長時間同じ姿勢を続けた後に体を動かす。
夜なら、その日に緊張した場所を穏やかにゆるめる。
「ストレッチは夜にしなければならない」という決まりはありません。
自分が一番こわばりを感じる時間帯に、数分取り入れればよいのです。
朝に行う場合は、寝起き直後に無理に深く伸ばすより、小さな動きから始めたほうが取り入れやすいでしょう。
呼吸もストレッチも「完璧」を目指さない
私はここが、リラックス目的のストレッチで最も大切なポイントの一つだと考えています。
健康情報を読むと、「○秒吸う」「○秒キープする」「10回繰り返す」といった数字がたくさん出てきます。
もちろん目安としては便利です。
しかし、数字を守ること自体が目的になってしまうと、「あと10秒我慢しないと」「今日は10回できなかった」と、自分を追い込む材料になってしまうことがあります。
リラックスしたくて始めたはずなのに、新しいノルマを増やしてしまっては少し苦しいですよね。
その日の体調によって、10回できる日もあれば3回で十分な日もあります。
昨日より体が硬い日もあるでしょう。
そうした違いを「失敗」と判断するのではなく、「今日はここが張っているんだな」と確認する時間にしてみてください。
30秒でも「やったこと」にする
忙しい日は、ストレッチのための5分さえ確保できないことがあります。
そんな日は、肩を一度持ち上げて力を抜くだけでもいいのです。
首を左右に一度ずつ倒す。
腕を3回だけ回す。
ふくらはぎを20秒だけ伸ばす。
このような30秒程度の動きでも、「今日はできなかった」と自分を責めるより、ずっとリラックス習慣を続けやすくなります。
健康習慣は、途切れないことよりも、途切れてもまた戻れることのほうが大切だと私は考えています。
ストレッチだけで疲れをすべて解決しようとしないことも大切
ストレッチは手軽なセルフケアですが、あらゆる疲労や痛みを解決する万能な方法ではありません。
睡眠不足が続いているなら睡眠時間そのものを見直す必要がありますし、長時間労働や人間関係のストレスが強いのであれば、その負担を減らすことも大切です。
また、痛みやしびれが続いている場合、その原因が単なる筋肉のこわばりとは限りません。
特に次のような場合には、無理にストレッチで対処し続けず、必要に応じて医療機関へ相談してください。
- 強い痛みが続いている
- 手足にしびれや力の入りにくさがある
- 転倒や事故の後から痛みが出た
- 動かすほど症状が悪化する
- 発熱や体調不良など、筋肉の疲れとは別の症状を伴う
セルフケアで大切なのは、「自分で何とかしなければ」と抱え込まないことでもあります。
ストレッチは、体をいたわる選択肢の一つ。
必要なときには休み、相談し、別のケアを選ぶ。それも立派な体との付き合い方です。
また、けがの治療中や手術後、持病がある場合などは、自己判断で新しいストレッチを始めるより、医師や理学療法士などに確認したほうがよい場合があります。
「伸びる痛み」と「やめたほうがいい痛み」を混同しない
ストレッチをしていると、筋肉が伸ばされる感覚を「少し痛い」と表現する人もいます。
ただし、鋭く刺すような痛み、電気が走るような感覚、しびれ、関節そのものの強い痛みは、「効いている証拠」と考えないでください。
リラックス目的ならなおさら、苦痛を我慢する必要はありません。
気持ちいい、または少し伸びている程度で止めることを基本にしましょう。
私が考える、リラックスストレッチで一番大切なこと
ここまで複数のストレッチ方法をご紹介してきましたが、筆者としては、「どのストレッチが一番効くか」だけを探し続けなくてもよいと思っています。
首を伸ばす人もいれば、肩を回すと気持ちいい人もいます。
脚を伸ばしたほうが落ち着く人もいれば、布団で足首を動かすだけで十分という人もいるでしょう。
体のこわばり方は、その日の姿勢、活動量、睡眠、気分によって変わります。
だからこそ、決まった正解を体へ押しつけるのではなく、その日に緊張している場所を探してあげることが、リラックスへの近道になるのではないでしょうか。
私は、ストレッチには「筋肉を伸ばすこと」とは別の価値もあると考えています。
それは、自分の体へ意識を戻す時間になることです。
忙しい日ほど、私たちの意識は外側へ向き続けます。
仕事の締め切り。
家族のこと。
連絡への返信。
明日の予定。
頭の中では、次にしなければならないことが次々に流れていきます。
そんな中で30秒だけ首を傾け、「今日は右肩が硬いな」と気づく。
肩を回しながら、「思っていたより呼吸が浅かったな」と気づく。
布団で足首を動かしながら、「もう今日は何もしなくていい時間なんだ」と感じる。
この小さな切り替えこそ、ストレッチをリラックス習慣にするうえで見逃せない部分だと思うのです。
「どこを伸ばすか」より「終わったあとどう感じるか」を見る
ここで、もう一つ意識してほしいことがあります。
ストレッチ中の姿勢だけでなく、終わった直後の感覚を10秒ほど確認してみてください。
肩が少し軽くなったでしょうか。
呼吸がしやすくなったでしょうか。
手足の力が抜けたでしょうか。
あるいは、特に何も変わらない日もあるかもしれません。
それでも構いません。
「変化を起こさなければ」と考えるより、今の自分の体がどうなっているかを知ること自体をセルフケアにするという視点が、私は大切だと思っています。
これは、たくさんの方法を試して「もっと効くもの」を探し続けることとは少し違います。
今日の自分に必要なものを、今日の体に聞いてみる。
首なのか、肩なのか、脚なのか。
それとも今日はストレッチより、早く布団へ入って休むほうがいいのか。
そうやって選べるようになると、セルフケアが「守るべきルール」から「自分をいたわる選択」へ変わっていくのではないでしょうか。
特別な器具も、高度な柔軟性も必要ありません。
「少し体を伸ばしてみよう」と思ったその瞬間から始められます。
まとめ|リラックスするストレッチ方法は「やさしく、短く、続けやすく」
リラックスを目的にストレッチするなら、強く伸ばす必要はありません。
首や肩、背中、腰、ふくらはぎ、太もも裏など、その日にこわばっている場所を呼吸を止めず、痛みのない範囲でゆっくり伸ばすことから始めてみてください。
首を横へ傾ける、肩を持ち上げて力を抜く、肩甲骨を意識して腕を回すといった動きなら、特別な道具がなくても取り入れられます。
背中を休ませるチャイルドポーズ、背骨を穏やかに動かすキャット・キャメル、仰向けでの軽いひねりも、その日の体調に合わせて選べる方法です。
脚が重い日は、壁を使ったふくらはぎ伸ばしや、タオルを使った太もも裏のストレッチも取り入れやすいでしょう。
寝る前なら、入浴中の首まわり、就寝前の腕回し、布団での足首曲げと呼吸をそれぞれ約1分ずつ、合計約3分で行う方法もあります。
ただし、3分、5回、20〜30秒といった数字はあくまで目安です。
何より大切なのは、ストレッチを新しい義務にしないことです。
5分できなければ1分でもいい。
1分が難しければ、肩を1回動かすだけでもいい。
毎日できなければ、疲れを感じた日だけでもいい。
「今日も頑張った体を、少しだけ休ませてあげよう」。
そんな気持ちで行うほうが、リラックス習慣として長く付き合いやすいのではないでしょうか。
そして強い痛みやしびれ、事故後の症状などがある場合には、「もっと伸ばせばよくなる」と無理をせず、必要な医療につなげることも忘れないでくださいね。
よくある質問
リラックスするためのストレッチは何分くらいやればいいですか?
長時間行う必要はありません。
寝る前の方法として、入浴時、就寝前、布団に入ってから、それぞれ約1分ずつ行う合計3分程度の習慣も紹介されています。
まずは1〜3分程度から始め、「もう少し伸ばしたい」と感じる日は時間を増やすくらいでも十分でしょう。
大切なのは時間の長さより、痛みを我慢せず続けられることです。
ストレッチは朝と夜のどちらがリラックスできますか?
どちらでも構いませんが、目的が少し異なります。
朝は体を動かし始める準備として、日中は同じ姿勢から体を解放するために、夜は一日の緊張をゆるめるために取り入れやすいでしょう。
特に眠る前に肩や背中の力みを感じる方は、夜の短いストレッチから試してみると生活に組み込みやすいですね。
無理に夜へ固定せず、「自分が一番こわばる時間」に合わせて選んでください。
体が硬くてもリラックスストレッチはできますか?
できます。
柔軟性の高さは必要ありません。
写真や動画と同じ姿勢を目指すのではなく、「少し伸びていて気持ちいい」と感じるところで止めましょう。
膝が曲がっていても、腕が十分に上がらなくても、自分の可動範囲で行えば構いません。
強い痛みやしびれが出る場合には中止し、症状が続く場合は医療機関などへ相談してください。
結城紬(心と体のケアアドバイザー)


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